ニュースから「近視眼バイアス」を外す

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たいてい、人間は「身近で起こったニュース」に注意を向け、重要視する傾向がある。これは、ほとんど無自覚に起こりえる。ある調査によれば、自分の名字を呼ばれると、他人の名字を呼ばれた時の3倍ほど聴力がアップするらしい。テレビをつけながら部屋の掃除をしている時などでも、テレビに注意など向けていないはずなのに、出身地のニュースが流れたとたんに「おや?」とニュースに注意が向いてしまうことがあるだろう。

「耳にしたことのある単語には、無意識に注意を向けがち」なのだ。

この無自覚な「注意力の距離」は、油断していると、投資またはビジネス上での判断を歪めてしまうきっかけになってしまう。

例えとして、サブプライムローン問題が起きたころの株式市場を挙げたい。ドルやダウが下落し、日経平均も同様に下落した。国内の大企業のほとんどが、株価を下落させた。大企業とはたとえばホンダやトヨタ、財閥系の三菱、三井、住友、ソフトバンク、ドコモなど、誰でも耳にしたことのある企業ばかりである。

この「耳にしたことのある」という部分が問題で、それだけを判断材料に、「日本経済は本当に停滞に向かっているのだ」と決め込んでしまうと、他のニュースに勝手にバイアスがかかってしまう。

「耳にしたことのある企業株価の下落」はただの「点」である。これを「線」にするには、全体を見渡して、普段あまり気にとめない企業の株価を見てみるのがいい。

たとえば、「山崎製パン」や「プリマハム」。日本経済の象徴として食品会社の株価が取り沙汰されることはほとんどないが、サブプライムローン後も、実は全然株価が落ちていなかった。その他にも、㈱カカクコムなど新種のインターネットメディアも元気だったし、埼玉の人じゃないと知らない、全国的に有名だとはいえないスーパー展開メインの企業の株価が上昇するなどの現象も見られた。

このように、視点を広げると、「日本経済はもう停滞に向かっている」という独断的な判断が、少しだけ好転して見えてくる。もっと考えると、大企業の株式は外国人投資家がその多くを持っていて、彼らが不安になると売りに入る。つまり「海外からの売り主導で下落しているのかもしれない」というアイデアが浮かんでくる。そうなると、「急激な株価の下落は、まだ実体経済に即した悪化ではなく、マネーゲーム的なニュアンスが強いのでは?」という側面も見えてくる。

そうなれば、株式投資やビジネスチャンスを狙う商売人にも、希望が芽生えてくる。

こういう風に、近視眼的になってしまう時は、一度、「耳にしたことのある企業の株価」の「価値」を確認し、バイアスを消すことが重要だ。

こういった現象は、例えば、国内外の政局などにも言える。

今年の7月、日本の政局は揺れた。一般的に考えると、政治の揺れは、市場に不安感を与え、株価や通貨の下落を促すものだ。麻生政権内部で総会開催を求める声もあり、何十年も与党の座を譲らなかった自民党がぶっ壊れるかどうかの瀬戸際だった。

しかし、日経平均は全く問題なく上昇した。

違和感を覚えた人も多いのではなかっただろうか。

「日本の政局」は日本人の生活に非常に密接したものだし、特に投資家は親身に考える材料である。言うまでもないが、政治の混乱は、基本的に、「売り材料」である。

通貨取引をしていた近視眼的投資家の中には、政局不安を加味して、円を売ったりしてしまった人も多いのではないだろうか。

ただ、世界的に、つまり「線」で捉えてみると、日本の政局など、たいだいの場合において、大した材料として捉えられていないことが分かる。世界にとっては、「日本の政治の混乱」など、遠い国の戯言に過ぎないのだ。すべての情報との距離を、均一にして相場に臨む必要がある。

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