円キャリートレードが相場に与える影響

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外国為替市場で円キャリートレードが活発化していったのは、1996年頃からです。

それより少し以前に、ドル・円相場は1995年4月19日に円の史上最高値79円75銭を記録しました。

当時、ドルは主要通貨全てに対して下げ止まらない状態となっていましたが、ルービン米財務長官(当時)が同月のG7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)でドル高政策を打ち出し、その後、G7各国が協調してドル買い介入を実施したことにより、トレンドが転換し、円安・ドル高方向に大きく振れていく展開となりました。

また、日本ではバブル崩壊後の景気低迷から低金利状態が続くとの見方が支配的となっていましたので、翌1996年以降には世界中の投資家らが円キャリートレードを活発化させました。

その結果、ドル/円は1997年に127円台まで上昇し、1998年8月には147円64銭にまで上昇しました。

そしてその間、市場には円キャリートレードによる円売り・ドル買いポジションが大量に積み上げられていくこととなりました。

  • 円高とは

円高とは、外国通貨に対する円の相対的価値が高まることを言います。

この説明だけでは、なかなかイメージがつかめないと思うので、具体例を出して説明します。

1998年8月、円は1ドル=147円台と、1995年4月19日に円が史上最高値の79円75銭を記録して以来の安値を記録しました。

しかし、この年後半、ルーブル切り下げや対外債務凍結などのロシアの通貨・経済危機、米系ヘッジファンドの最大手LTCMが破綻、 中南米の通貨不安のなどの影響から、米国経済に先行き不安が強まり、急激な円高・ドル安が進行します。

そして、1999年の年末には、1ドル=101円台を記録します。

「1ドル=147円から101円になったので円の価値が安くなった。」と誤解される方も多いと思いますが、その反対で、実は円の価値が上がっていることを示しています。

例えば、アメリカでチューインガムが1ドルで売られていたとします。

1998年は、アメリカで売られていた1ドルのチューインガムが147円で買えたのですが、1999年には101円出せば買える事を意味します。

このように、1ドルに対し、円の価格が147円から101円になると、円の相対的価値が上がったということがお分かりいただけるでしょう。

為替レートが1ドル=○円と提示されていた場合、○の数字が大きくなると円安、○の数字が小さくなると円高だと覚えておけばよいでしょう。

  • 円高の要因/内外金利差の縮小とは

円高の要因の一つとして挙げられるのが、内外金利差の縮小です。

資金は金利が少しでも高い方へ移動しますが、内外金利差が縮小すると、従前の金利差を前提にしていたポジションを解消させる動きが出るため、円買い需要を呼び起こすのです。

内外金利差の縮小には、いわゆる日銀の利上げと、外国通貨の利下げの2つのケースが想定されます。

日銀の利上げとは、日銀の金融政策決定会合において、無担保コール翌日物金利の誘導目標水準を引き上げることを言います。

また、外国通貨の利下げとしては、米ドルの場合は、米国FOMCのフェデラルファンド金利の利下げが相当します。

  • 円高の要因/日銀の利上げとは

日銀の利上げとは、日銀の金融政策決定会合において、無担保コール翌日物金利の誘導目標水準を引き上げることを言います。

外国為替市場のニュースを見ていると、「日銀の利上げ観測」が円高の要因として取り上げられることがあります。

日銀の利上げがなぜ円高の要因になるかと言うと、日銀が利上げすることにより、内外金利差の縮小を招くからです。

資金は金利が少しでも高い方へ移動しますが、内外金利差が縮小すると、従前の金利差を前提にしていたポジションを解消させる動きが出るため、円買い需要を呼び起こすのです。

日銀の利上げ懸念がどのような場合に台頭してくるかというと、日本経済のファンダメンタルズの改善を示す経済指標が発表された場合などが想定されます。

ですから、GDP、機械受注統計などの重要経済指標の発表がある日には注意が必要です。

なお、日銀の利上げは、外国為替証拠金取引におけるスワップポイントに大きな影響を及ぼします。

日銀で利上げが行われる(もしくは利上げ懸念が広がる)と、円と外国通貨との金利差が縮まり、円売り・外貨買いポジションの受け取りスワップポイントが小さくなり、外貨売り・円買いポジションの支払スワップポイントが小さくなります。

これにより、従前に比べて円売り・外貨買いポジションの妙味が低下するため、円キャリートレードの巻き返しが発生し、これも円高の要因となるのです。

  • 円高の要因/FOMCの利下げとは

FOMCの利下げとは、米国の金融政策を決定する会合であるFOMC(米国連邦公開市場委員会)において、フェデラルファンド金利の引き下げを行うことを言います。

外国為替市場のニュースを見ていると、「FOMCの利下げ観測」が円高の要因として取り上げられることがあります。

FOMCの利下げがなぜ円高の要因になるかと言うと、FOMCが利下げすることにより、日本円と米ドルの金利差の縮小を招くからです。

資金は金利が少しでも高い方へ移動しますが、日本円と米ドルの金利差が縮小すると、従前の金利差を前提にしていたポジションを解消させる動きが出るため、円買い需要を呼び起こすのです。

FOMCの利下げ懸念がどのような場合に台頭してくるかというと、米国経済のファンダメンタルズの悪化を示す経済指標が発表された場合などが想定されます。

ですから、米国のGDP、雇用統計など、重要経済指標の発表がある日には注意が必要です。

なお、FOMCの利下げは、外国為替証拠金取引におけるスワップポイントに大きな影響を及ぼします。

FOMCで利下げが行われる(もしくは利下げ懸念が広がる)と、円と外国通貨との金利差が縮まり、円売り・外貨買いポジションの受け取りスワップポイントが小さくなり、外貨売り・円買いポジションの支払スワップポイントが小さくなります。

これにより、従前に比べて円売り・外貨買いポジションの妙味が低下するため、円キャリートレードの巻き返しが発生し、これも円高の要因となるのです。

「FOMCの利下げ=円高/ドル安」とならない場合も多いことに注意

「FOMCの利下げ=円高/ドル安」とはならない場合も多いことに注意が必要です。FOMCの利下げ観測に対して、ドル/円相場がどのような反応をするかは、その時の相場のトレンド、テーマによります。

例えば、円キャリートレードのように、米ドル/円の金利差が為替相場のトレンドとなっている場合は、「FOMCの利下げ観測 → ドル売り」となります。

一方で、米国の景気減速懸念がドル安の要因となっているような相場トレンドの場合は、「FOMCの利下げ → 米国の景気減速懸念の後退 → ドル買い」となる場合もあります。

  • 円高の要因/円キャリートレードの巻き返しとは

円キャリートレードの巻き返しとは、低金利の円で投資資金を調達し、それを高金利の外貨に換えて高い収益が期待できるものに投資するいわゆる円キャリートレードが、その前提条件が崩れることにより、市場に積み上げられてきた円売りポジションが一斉に解消される事態をいいます。

円キャリートレードの巻き返しの最近の例としては、1998年後半に発生した巻き返しが記憶に新しいです。当時のドル/円相場は、円キャリートレードが活発に行われ、1998年8月には147円64銭という円安値を記録しました。

しかし、1998年9月には、円キャリートレードを利用してエマージング・マーケット(新興国市場)に巨額投資を行っていた大手ヘッジファンドが破綻し、それをきっかけにして他のヘッジファンドらも一斉に円キャリートレードの解消(ドル売り・円買い)に動き始めたため、ドル/円は10月初旬に111円台にまで急落する展開となりました。

市場に積み上げられてきたポジションが一斉に解消される事態となった場合には、為替相場がファンダメンタルズとは関係なく、急激な変動に見舞われることになるので注意が必要です。

2006年3月には高金利通貨として人気があったNZドルや豪ドルの下落が顕著になりました。

その背景には、日銀が量的緩和政策の解除を発表した後、日本の金利上昇観測が強まり、ヘッジファンドらが円キャリートレードのポジションを縮小させていることが挙げられます。

円金利が上昇していくことになれば、投資資金の調達コストが上昇してしまうだけではなく、為替相場も金利先高観を材料にして円高に振れていくリスクが高くなるからです。

また、NZドルや豪ドルが下落した背景には、両国の景気の先行きに対する楽観的な見方が後退しているということも影響しています。

  • 円安の要因/国内輸入企業の円売りとは

外国為替市場のニュースを見ていると、「国内輸入企業の円売り」が円安の要因として取り上げられることがあります。

では、国内輸入企業の円売りとは、どういったメカニズムで発生するのでしょうか?

石油会社などの輸入企業は、原油などの原材料を海外から輸入し、それを精製するなどして国内で販売します。

国内販売での売上は日本円ですが、輸入元の海外にはドルやユーロなどといった外貨で支払いを行う必要があります。

ですから、輸入企業は、日本円から外貨への両替を銀行に依頼します。両替を持ち込まれた銀行は、外貨の保有量が減少してしまうので、外国為替市場で外貨を購入して外貨保有量を調整することになります。

この円売り・外貨買いが、「国内輸入企業の円売り」と言われ、これが増えれば増えるほど円安は進行します。

つまり、石油会社など輸入企業の輸入が増えることが、円安の要因として挙げられるわけです。

 

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